ご存知の通り、患者さんに保険適用でマッサージをするには医師の同意書が必要になります。
しかし、残念ながら同意書は病院や医師会によっては原則交付しない方針の所もあるので、マッサージ施術の同意書の書き方を知らないお医者さんもいます。
そんな中で同意書をスムーズに取得するためにも、お医者さんとの信頼関係を築く事はとても大切です。
お医者さんとしても、自分の患者さんを見知らぬマッサージ師には委ねられないですよね。
わかりやすく記載箇所の少ない同意書を用意したり、依頼状に書き方の例を付けたりして少しでもお医者さんの負担を減らしてあげましょう。
今回はそんな依頼状の書き方と、同意書をスムーズに取得するためのポイントをご紹介します。
マッサージ同意書や依頼状の書き方のポイントをご紹介
まずは同意書と依頼状、それぞれの書き方のポイントをご紹介していきます。
取得する同意書も添付する依頼状も、決まったフォーマットや書き方はありません。
マッサージ施術の同意書は厚生労働省のホームページからダウンロードが可能ですが、もちろん自分で作成しても構いません。
むしろ、多忙なお医者さんの事を考えるとダウンロードした書式をそのまま使用する事は避けた方が良いでしょう。
お医者さんが書きやすい同意書を用意しよう
お医者さんの仕事は診察以外にもたくさんあります。開業医であれば、医療機器の購入や看護師や事務員の確保など病院の運営に関わる業務もあり、多忙を極めます。
患者のカルテや様々なお知らせといった書類もたくさん目にすることでしょう。
そんな中、あなたのマッサージを受けるべく患者さんが持ってきた同意書に目を通してもらうのです。
忙しいお医者さんの手間を少しでも減らすために、なるべく記載箇所の少ない同意書を用意する方が親切ですよね。
厚生労働省のホームページからダウンロードした書式を使う場合は、必要箇所を事前に記入しておいたり書き方の例を付けてあげたりするとお医者さんの負担も減ります。
予め記入しておく場合は、変更や訂正箇所があることを想定して白紙の同意書も一緒につけておきましょう。
用意した同意書に事前にこちらで記入をしておけば、同意書の書き方間違いや訂正で後から書き直してもらう手間も省けます。
記入する手間が省ける分、同意書の取得率も上がります。お医者さんの負担を減らして同意書をスムーズに取得しましょう。
同意書に付ける依頼状は何を書けばいい?
依頼状も決まった書式は無いので、自作したりインターネットでテンプレートを探したりしてみましょう。
作成の際は以下のポイントを押さえた内容で作成すると良いです。
- 頭語は拝啓ではなく謹啓や恭敬を使う(結語は頭語に対応する言葉を使う)
- 施術するマッサージが療養費の支給対象である事と、医療との併用が可能な旨を記載する
- 同意書交付時には「同意書交付料」が算定できる旨を記載する
- 施術における責任は全てマッサージ師にある旨を記載する
謹啓や恭敬は改まった書面や目上の人に宛てた手紙で用いられる頭語です。結語も頭語に合せて選びましょう。
こちらからお願いする事なので、かしこまった言葉を使って「拝啓・敬具」ではなく「謹啓・謹白」などを使用します。
あなたが行うマッサージが療養費の支給対象である事や同意書交付料として診療報酬が交付される旨も記載しましょう。
マッサージの施術についての責任が全て自分にある事を書くといいです。
これと合わせて、事故などのトラブルが起きないように気を付けることを明記する事でお医者さんが安心して患者を任せられますよね。
患者さんの情報や症状もなるべく詳しく明記し、最後にはあなたの情報も忘れずに入れましょう。
日々の診察や病院の運営等で忙しい中、わざわざ同意書を書いてもらうのです。
少しでも負担を減らすための配慮や、感謝の気持ちは惜しみなく伝えましょう。
マッサージの同意書交付を拒否されたらどうする?
マッサージの同意書発行をお医者さんにお願いしても断られるケースは少なくありません。
地域によって違いはありますが、医師会や病院の方針という理由で断られるケースが多いです。
もしお医者さんに交付を拒否された場合はどうしたら良いのでしょうか?
断られる理由によって、どのように対応したら良いかを考えてみましょう。
医師会で安易な同意書の交付はしないとなっている場合
一番多い理由が、医師会からの指示によるものです。そもそも、なぜそういった指示が出ているのでしょうか?
実は、リスク回避のために同意書の交付を拒否している医師会が多く存在します。
その場合はお医者さんが抱いている不信感を払拭すれば良いのです。
もちろん、マッサージを施術する際に起きてしまったトラブルや病状の悪化に対して、お医者さんが責任を問われることはありません。
ですが、お医者さんからすれば責任問題以前に気持ちの問題もあるかもしれませんよね。
どこの誰かもわからないマッサージ師の施術を受けるための同意書を、快く書いてくれるお医者さんは少ないでしょう。
しかし、そういった気持ちの問題であれば解決策はあります!
自分の利益のためではなく、患者さんが健やかに生活できる手助けがしたいのだという事を伝えましょう。
患者さん自身がマッサージを望んでいる事や、あなたが責任をもってマッサージを施術する事が分かれば不安も解消されますよね。
この人だったら安心して自分の患者を任せられると思ってもらえれば、同意書を書いてもらえる確率がグンと上がりますよ!
いずれにしても、一度断られてしまったらお医者さんと直接お話ができないか、まずは患者さんに聞いてみましょう。
お医者さんがマッサージを医療として認めていない場合
上記のように、不信感から同意書の交付を断られる場合は、お医者さんとの信頼関係を築いて解決することもあります。
しかし、現状はマッサージを医療とは認めていないお医者さんも少なからずいます。
残念ですが上記のようなケースであれば、説得のために何度も病院へ足を運ぶよりも同意書を交付してくれる別のお医者さんを探した方が良いでしょう。
そういった考えを持つお医者さんには、あなたがどれだけ誠意をもって話しても聞く耳を持ってくれないかもしれません。
また、大きな病院だとリハビリ施設がきちんと整っている所も多いです。
そういったところは、治療としてのマッサージの必要性に理解があっても、わざわざ外部でマッサージを行う必要はないと考えるお医者さんが多いです。
そうなると、こちらが説明や説得をしても同意書を発行してくれる確率は低いでしょう。
同意書の発行を断られる事態を想定して、あらかじめ同意書を発行してくれるお医者さんとのパイプを持っておくのも大事です。
しかし、自分のかかりつけのお医者さんじゃないと不安に思う患者さんは少なくありません。
同意書の発行を拒否されるケースもあるという事や、その場合は別なお医者さんを紹介するという事を患者さんにあらかじめ説明して理解してもらっておいた方が良いですね。
病院へ話しに行く時はこのポイントを押えよう
患者さんのマッサージにきちんと責任を取る事や、お医者さん自身にご迷惑をお掛けすることはないという事を改めて伝えた上で再度お願いをしましょう。
厚生労働省のホームページに出ている通達を印刷して持参しておくのも一つの手です。
また、アポイントを取らずに直接病院へ行っても、取り合ってもらえない可能性もあります。
せっかく行っても会えなければ無駄足になってしまうので、事前に電話で連絡を取った方が安心です。
実際に会う事ができたら、まずは時間を作ってくれたことに対し感謝の意を伝えましょう。
急患などで突然会えなくなる可能性もあります。
そういった場合に受付で預かってもらえるように話したい事を手紙にまとめて一緒に持っておくとお医者さんにとってわかりやすく親切です。
お仕事以外にも言える事ですが、誠意のある言動を心掛ける事が大事です。
マッサージの同意書は有効期限に注意!
さて、マッサージの同意書を無事にもらえても、そこで終わりではありません。
実はマッサージの同意書には6か月間という有効期限があります。
同意書を取得した日によって数え方が違うので、以下の点に注意しましょう。
- 取得日が1日から15日の場合は、当月を含む6か月後の末日
- 取得日が16日から末日の場合は、翌月から6か月後の末日
- 変形徒手矯正術の同意書は取得日からピッタリ1か月後
関節の可動域を拡げる変形徒手矯正術は、通常のマッサージに比べて期間が短くなっているので特に気を付けてくださいね。
また、平成30年10月1日以降は制度改定によって再同意についても診察と同意書の交付が必要になりました。
有効期限以降も継続して施術をする場合には、期限が切れる前にお医者さんから再度同意書を交付してもらわなければなりません。
診察も必要になるので、患者さんにお話しして再同意をお願いするお手紙や施術報告書と一緒に同意書を持参してもらいましょう。
差し支えなければ診察の際は同席させてもらっても良いですね。
施術を続ける限り、お医者さんとは何度となくやり取りをすることになります。
報告書は患者さんに持参してもらわずに施術後に自分で送ったり持参したりするのも良いと思います。
定期的に連絡を取り合い、患者さんとお医者さんの三者間で情報を共有する事で、それぞれが安心して良好な関係を築くことができますよ。
もしお医者さんへ直接郵送する場合は、返信用封筒もつける等の配慮も忘れないようにしましょう。
まとめ
- マッサージの同意書に決まった書き方は無いので、多忙なお医者さんの為にも同意書の記載する箇所が少ない書式を作ると良い
- 依頼状にも決まった書き方は無いが、その分丁寧な言葉遣いを心掛けて文章を作ると良い
- マッサージの同意書の交付を拒否される場合は直接会って説明するか、それでも取得できない場合は別なお医者さんを探す方法もある
- マッサージの同意書は基本的に6ヶ月間(変形徒手矯正術は1ヶ月間)の有効期限が設けられているので、更新の為にお医者さんに診察と再同意をしてもらう必要がある
- 患者さんとお医者さんの三者間で情報を共有して、常に良好な関係性を保つ事が大切
患者さんにマッサージを施術することが目的ですが、継続的な施術をしていくならお医者さんとの信頼関係も大事です。
患者さんの療養費申請書やお医者さんの同意書など、わからなければ丁寧に説明してあげられるように自分自身も書き方を熟知しておきましょう。
また、マッサージ業界は制度改定も多く行われるので、常にアンテナを張って最新の情報をチェックして患者さんやお医者さんへも発信していきましょう。
患者さんやお医者さんから信頼されるマッサージ師を目指して頑張りましょう!
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